『天気の子』の感想

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 モヤモヤする映画だったけど、この映画の「ヒロインと主人公」の関係って、「大ヒット映画を手がけた新海誠監督と川村元気プロデューサー」の関係に似てるかも?……と考えてみたら、だんだんそういう映画のように思えてきた。

  ヒロイン(=監督)は、他人には無い特殊な力を持っていた。しかし、それは使わず、親や大きな組織の力も借りず、自分と身内だけで細々と生きてきた。しかし、その生き方に限界が訪れる。「もう自分の恥ずかしいところを極限までさらけだして売り物にするしかないのでは!?(=究極の私小説的アニメ映画)」……と迷い始めたところで、主人公(=プロデューサー)と出会う。ヒロインは実は知る人ぞ知る存在で、主人公はそんな彼女の噂を聞き、会いにきたのだ。出会った2人は意気投合し、一緒に仕事をすることになった。そして、主人公が企画・プロデュースを手がけた「晴れ女」が大ヒット! ヒロインは、それまで秘めていた才能で、いちやく人気者となり、幅広い層のお客さんを笑顔にし、仕事の依頼も殺到した。……と、ここまでの展開は、監督とプロデューサーが『君の名は。』を大ヒットさせるまで、を彷彿とさせる。

 ではこの後はと言うと、「if」、大ヒット監督の身に起こりえたかもしれない物語ではないか。

 ヒロイン(=監督)は周囲の期待に応えて仕事をするうちに、身体を壊してしまう。そこで、主人公がはたと間違いに気づく。そして後悔する。自分のプロデュース方針のせいでこんなことになるなんて……!
 主人公が映画のプロデューサーだったら、きっとこう叫ぶだろう。「『君の名は。』みたいな映画を世界中が望んでいる。だけど、それはもう撮らなくていい。すべての映画ファンを敵に回しても、俺は君を助ける!」

 おおむね、そんな映画ではなかっただろうか……。