『ストップ!!ひばりくん!』第9話

 U-NEXTでストップ!!ひばりくん!梅津泰臣さんの作監回を観ていたら、劇中で小学生男子が使う勉強ノートに「幻マ大戦」と書いてあった。で、「ああ、ちょうどアニメ界で幻魔大戦が話題になった時代だったのかな?」ぐらいに思ったのだけど、WEBで梅津さんのインタビューを読んだら印象が変わった。

そのうち、「ストップ!! ひばりくん!」(1983年)で作監に抜擢されたんです。当時まだ23歳ぐらいでしたから、先輩たちにやっかまれて「出る杭は打つ」みたいなことを言われました(笑)。当時の東映動画は実写映画の世界と同じように、職人気質の人が多かったんです。それで、ちょっと居心地が悪くなってきたころに「幻魔大戦」(1983年)の情報を聞いて、この大友克洋さんのキャラクターなら、ぜひ描いてみたいとマッドハウスへ移籍しました。

新作アニメ作品を制作中の梅津泰臣が語る「これまで」と「これから」【アニメ業界ウォッチング第85回】 - アキバ総研

 

 これを読んで、「当時、他社作品の劇中に文字で登場させてしまうぐらい、幻魔大戦の情報に心を奪われていたのだろうか!?」と想像がふくらんでしまった。いや、もちろん、この回の別のスタッフが書いた文字という可能性もある。ただ、その「幻マ大戦」の上に「うめつやすおみ」「てらさわしんすけ」と書いてある。ネット情報によると寺澤伸介さんは梅津さんと交流のあったアニメーターの名前のようだが、エンドクレジットを見るとこの回には参加していない。そう考えると、やはり梅津さんが遊びで思いつくままに書いた文字なのかな、と思った。

 場面的にも、小学生男子がひばりくんに一目惚れしてしまって、心を奪われて、頬杖ついてハートマークが出まくっている場面なので、視聴者の勝手な感想(妄想)としては「もはや、ひばりくんに憧れる小学生男子の姿と『幻魔大戦』に憧れる人の姿がダブって見える…!」と思った。

 ちなみに勉強ノートの反対側のページには、「ガッチャマン」と「女子高生大好き」と書いてある。タツノコプロ作品に思い入れのあった梅津さんが、のちのち科学忍者隊ガッチャマンのリメイクOVAに参加したり、女子高生が主人公のアニメを監督してタランティーノ監督のキル・ビルに影響を与えたりする未来の出来事のことを思うと面白い。