この記事を読んで、押井守監督のレイアウト集の話が気になった。
私の作品でも『攻殻(攻殻機動隊)』あたりはほぼなくなっているし、『パトレイバー(機動警察パトレイバー)』なんてもう影も形もない。個人的にどうしても保存したくて出版社を口説き落として出してもらったレイアウト集があるだけ。
この「レイアウト集」は、『METHODS 押井守「パトレイバー2」演出ノート』のことかと思うのだけど(※違ったらすみません)、同書あとがきの押井さんの言葉を読み返すと、出版の経緯に関して違うことが書いてある。
昨今のメディアミックスやらマルチメディアやらの風潮で、資料集やムック本の類いは数多く出版されるようになりましたが、いずれも現場で作業する人間の目には不満の多いもので、いつか自分で手掛けてみたいと思いつづけていたところ、無謀にも本格的な資料集を出版したいという申し出があり、一も二もなく飛びついた結果出来上がったのが本書という訳です。
「個人的にどうしても保存したくて出版社を口説き落として出してもらった」と「無謀にも本格的な資料集を出版したいという申し出があり、一も二もなく飛びついた」では、かなり違った印象を受ける。実際のところは知らないけれど、もしかしたら、出版の申し出を受けたあとに、「資料集」から「レイアウト集」という方向に持っていくために出版社を口説き落とす場面があったのかな、と読みながら想像した。
作品や制作素材が残らず、消えていくのはつらいというWEB記事での主張には共感するし、押井守監督の言うように作画やアニメーターももっと評価されてほしいとも思う。それと同じように、「無謀にも本格的な資料集を出版したいという申し出」をした人の存在だって忘れてはいけないと思う。あのWEB記事を読んだだけだと、そういう存在は見えづらいと思ったので、ちょっと気になってこのブログ記事を書いた。ちなみに、『METHODS』の押井さんのあとがきには、編集者の野崎透さんへの謝辞が書かれている。