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『資料性博覧会09』パンフレット通販開始

・5月3日に開催された『資料性博覧会09』のパンフレットの特集記事「求道的アニメファンが注視する、先端クリエイター36人」で、畑博之監督と岩井俊二監督の紹介記事を書きました。また特集そのものも、まんだらけマニア館・國澤さんの依頼で、僕とya_shiさんとで編集しました。

・特集では「ファンが本当に好きなクリエイターを取り上げる」「どこが好きなのかを具体的に紹介する」という点を心がけたつもりです。

 執筆陣は、それぞれ一人でも戦える猛者揃い。このように一堂に会して共通のテーマで書くことはなかなか無いでしょう。また、与えられた枠組みの中で書いた文章なので、ブログで自由に書いた文章とはまた違った面白さが味わえると思います。

まんだらけ通販 | 株式会社まんだらけ 資料性博覧会09公式パンフレット

 

<執筆者(BLOG):紹介したクリエイター>

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『Cyphers』5周年記念アニメの制作会社は「STUDIO PPURI」

・韓国製オンラインアクションゲーム『Cyphers』(開発:Neople)の5周年記念アニメの作画が凄いとTwitterで話題になっていた。確かに格好いい。

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 それで、アニメ制作会社が気になったのだけど、社名ロゴが読めないので検索できない! ……と困っていたところ、アメリカのアニメファンが、読みは「puri」で意味は「root」だと教えてくれた。

「root」をGoogle翻訳にかけると「뿌리」と出た。確かにこの字だ!

 その後、本作の参加アニメーターであるInseung Choi氏のFacebookにたどり着いた。そこにアップされたムービーには、社名入りのレイアウト用紙が映っており、これでやっと制作会社は「STUDIO PPURI」だと判明した。

・Facebookによると、Inseung Choi氏はSTUDIO PPURIのCEOでもあるようだ。

・STUDIO PPURIの過去作品、2DRPG『epic7』(開発:SUPER CREATIVE)ティザームービー。

『Wake Up,Girls!』OP大解剖

アニメ

(同人誌『JAGUARNOTE』#1原稿の再録・一部加筆)

戦隊物の遺伝子

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 『Wake Up,Girls!』のOP映像には、東映「スーパー戦隊シリーズ」でおなじみの演出手法が用いられている。

 すなわち、
①メンバーを象徴する動物エンブレム
②メンバーの日常の一幕の紹介
(戦闘能力の高さや、お茶目な一面を示すもの等)
③氏名のテロップ表示と決めポーズ
(時にはスマイルやサムズアップ、背景にエンブレム)
 この①~③が人数分、連続する見せ方である。

 監督の山本寛氏は、過去に戦隊物パロディの自主制作映画『怨念戦隊ルサンチマン』('97)を手がけている。『Wake Up,Girls!』のOP演出がその作風の延長線上にあることは間違いないだろう。
 ただ、本作ではそれを単にパロディとして用いるのではなく、「グループアイドル物」という別ジャンルのメンバー紹介演出に越境させたところに驚きがあった。また、本編の内容にも合致している。

 ひとりひとり出自の異なる少女たちが、芸能事務所にスカウトされ、統一されたデザインのステージ衣装を身にまとい、グループアイドルへとチェンジする。この変貌は、戦隊ヒーローの「変身」と見事に重なりあうものだ。
 もちろん、彼女たちは、直接その手で悪と戦うプリキュアのようなグループではない。だが、『七人の侍』の登場人物になぞらえた苗字を持ち、巨大組織に立ち向かう7人の勇士ではある。

 劇中では、白木プロデューサー率いる国民的アイドル集団「I-1club」が、「人間である前にアイドルである」という非情な理念でアイドルを育成し、全国制覇に突き進む。そこに波紋を生じさせる存在として浮上するのが「Wake Up,Girls!」だ。その対立構図に、幼き日の記憶に刻まれたヒーロー達の勇姿と、困難に立ち向かう「Wake Up,Girls!」メンバーの姿が重なる。
 こうして、僕の血潮をたぎらせるのに、このOP映像は一役買っているのだ。

 (画像は『電子戦隊デンジマン』('80)と『鳥人戦隊ジェットマン』('91))

多色の帯

 OPのファーストカットでは、白地の背景上を踊った虹が、仙台の街を見下ろす青葉城址展望台に舞い降りる。この躍動的な多色の帯は、5色の流星が尾を引く『秘密戦隊ゴレンジャー』('75)のOP を髣髴とさせる。
 また、メンバーとイメージカラーを配置した5分割の画面は、『鳥人戦隊ジェットマン』OP や『電子戦隊デンジマン』ED に見られるレイアウトだ。本作では、今まさに踏み出そうとする脚をクローズアップしたところが格好いい。

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(画像は『秘密戦隊ゴレンジャー』と『鳥人戦隊ジェットマン』)

振り向き動作

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 僕は、島田真夢の「振り向き」の中にも「戦隊らしさ」を見る。
 戦隊物のOP における振り向きは、「メンバーの日常の一幕の紹介」内の一動作として『電子戦隊デンジマン』時代から見られた。
 しかし、80 年代に様式化する。『光戦隊マスクマン』('87)では5人中3人、『超獣戦隊ライブマン』('88)では前期OP、後期OP ともにフルメンバーが振り向きを決め、スタイルとして確立された。翌年の『高速戦隊ターボレンジャー』('89)にもその演出が引き継がれ、強い印象を残した。ヒーローは、振り向くのだ。
 そのため『Wake Up,Girls!』OPでも、島田真夢の振り向きの、その小さな動きの中にも、秘められた大きな力を感じるのである。
(画像は『超獣戦隊ライブマン』)

言葉 of The Year 2015

 その年印象に残った「言葉」を振り返るコーナー。
 昨年に続き、2回目です。

<映像部門>

◎『アイドルマスター シンデレラガールズ』第16話

前川みく「みみみん、みみみん、うーさみんっ! みみみん、みみみん、うーさみんっ!

(選評:今年放映された『アイドルマスター シンデレラガールズ』後期には、「新たな光に会いに行こう」「新たな自分に会いに行こう」というOP曲の歌詞そのままに、主人公たちが先輩アイドルの輝きに出会い、刺激を受け、自分の中に新たな可能性を見つける好編が幾つもあった。そして時には、先輩が後輩に励まされるケースもあるのだけど、その中で最も記憶に残っていたセリフがこれでした。)

 

◎Croteam『The Talos Principle(タロスの原理)』

「中学3年の時、両親に連れられてポンペイに行った。最初は古代の街を歩きまわれることに驚きと感動でいっぱいだった。でも、急に怖くなったの。気付いたのよ、私が歩いているその場所で、かつて本物の人間が現実を生きていた。私と同じようにママとパパがいて希望や夢を持って生きていた人たちがいた。その全てが永遠に失われてしまったんだと。泣きながらパパに駆け寄って、そのことを話したの。そうしたら、パパは、はっきり覚えてる。こう言ったのよ。「そうだね。でも、今ここに僕たちはいる。街に人々がいる限りは、過去は失われないんだよ。」」

(選評:クロアチアのゲーム制作スタジオ「Croteam」が放った珠玉のタイトル『タロスの原理』より。プレイヤーは人工知能となって、人類滅亡後の地球を旅する。そして、古代都市に残されたタイムカプセルの音声ログを再生すると、このメッセージが聞こえてくる。これは人類の遺産を継承する何者かに向けた、遺言だ。素晴らしいセンス。)

 

<書籍部門>

◎荒木経惟『眼を磨け』

眼を磨くんだよ。毎朝、歯を磨くみたいに。

白洲正子『なんでもないもの 白洲正子エッセイ集<骨董>』

眼が利くとは要するに、本物のなかから本物を発見するまで待つ、その我慢のことをいうのだろう。

小林秀雄『考えるヒント: 1』 

作品評をする興味が、私を去ってから久しく、もう今では、好きな作品の理解を深めようとするねがいだけが残っている。もっとも、嫌いな作品とは、作品とは言えぬと判断した作品で、判断はただちに無関心をもたらすから、私には嫌いな作品というものもない事になる。

 柳宗悦『蒐集の弁』

物の良し悪しもさることながら、買い方、持ち方で、物は生きたり死んだりする。蒐集には自主的な自由な活きた眼が何よりほしい。ここで活きた眼とは、じかに物そのものを見る眼力を指すのである。評判や市価や、そんなものに頼らぬ自由さが欲しい。

岡倉天心『茶の本』

宋の詩人李竹嬾は、この世に三つのなげかわしいことがあると指摘している―― 誤った教育によって才能ある青年たちを損なってしまうこと  俗悪な称賛によって名画の価値をおとしめてしまうこと  不適切な扱いによって上等の茶を台なしにしてしまうこと

ロード・ダンセイニ『妖精族の娘』

賛美歌や祈りは細い金鎖のように聖堂一の高楼から天へ立ち昇った。それは楽園にとどき、やがてそこから天使たちが鎖をたどって降りてくる。

ベニー松山『ウィザードリィのすべて』

天使とは、かつて同族であった悪魔――即ち身の内の悪しき部分を追放した完全な善の化身である。その完璧さ故に悪に対して容赦なく、人にとっては必ずしも味方ではない。

高田明典『情報汚染の時代』  

陰謀説が「知られていない」のは、ほとんどの場合、単にそれが「正しくない情報」だからである

ミッチ・クルパタ『バーチャレーシング』評(『死ぬまでにやりたいゲーム1001』)

アーケード版が正当といえば正当だが、家庭用ゲーム機のどれかでプレイしてみるといい。人類が昔、「炎」を発見した時のような、驚きと感動、そして身体の芯を突き上げられるような興奮を体感するに違いない。

 

<Twitter部門>

https://twitter.com/natori/status/554949822281572354

お前らがアニメの隠喩を全部拾ったら勝ちみたいなゲームをするから 勝ちたいアニオタがそれっぽいのを手当り次第ガツガツ拾うような浅ましいことになる

https://twitter.com/katoyuu/status/580714025614336000

ゲーム実況はモテるがアニメ実況はモテないのじゃ

https://twitter.com/kanose/status/560285427068719105

詐欺師だって、そりゃ「会うといい人」だろうしね。「人当たりがいい」を「いい人」に変換しちゃう人は詐欺師のいいカモなんじゃないだろうか

https://twitter.com/msrkb/status/624477280916516864

インターネットの奴らは「この発想はなかった!」が多すぎる。お前らに、発想は、ない!

 

言葉 of The Year 2014

 今年印象に残った「言葉」を振り返るコーナーです。今年は、自分に響く言葉をメモしたりふぁぼったりして、結構集めました。今回は「セリフ部門」以外の選評が間に合いませんでしたが…。来年もいろいろな言葉から刺激を受けたいと思います。

 

<セリフ部門>

◎『ピンポン THE ANIMATION』最終回

「参ったなあ、おれ卓球好きじゃんよ。お前から離れてあちこち巡ってきたけんど、俺ずっとお前を探してた。ごめんな、許してくれんか。もっかいイチからやらしてくれんか。今度こそお前を離さねえかんよ。」

(選評:卓球で敗れた江上くんが、自分探しの旅に出てたどり着いた結論。僕もアニメ大好き期と倦怠期を繰り返しながら生きているので、一度捨てた場所に「申し訳ない」という態度で戻ってくるところに強い共感を覚えた。更には『ピンポン』そのものが「お前をずっと探してた」と感じさせるような素晴らしいアニメだったため、二重の感動があった。)

『山下清悟(yama) MAD』

「来るぞ!」

(選評:「劇中の台詞音声を活かす」という新しい編集手法で話題をさらった作画MADの台詞。「来るぞ!」は同動画内で初めて登場する台詞であるとともに、これから何かが始まりそうな予感をはらんだ言葉として印象的だった。)

◎『Wake Up Girls』最終回

「勝ったのはあいつらだ。」

(選評:「アイドルの祭典」決勝で優勝を逃したWUGの方を見て、主催者の白木がつぶやく台詞。WUGの歌と踊りを目にしたら誰だって心揺さぶられるだろう、という視聴者の気持ちと、WUGに複雑な気持ちを抱いていた白木のそれが一瞬だけ相似形になったことが示される台詞。『七人の侍』のオマージュ台詞でもある。)

◎『TITAN FALL』海外版CM

「(音楽:ジャン、ジャン、ジャジャーン)Yeah Ha Ha Ha !」

(選評:『TITAN FALL』をプレイして、テンションが最高潮に達したゲームオタクがナチュラルに発した言葉っぽくていいなと。) 

<書籍部門>

みうらじゅん著『郷土LOVE』

体を体と思うから、人は(他人と)変わりなく何でもできると思っちゃいますが、体をモビルスーツだとすれば、「これは、海には向かねぇよ」というようなケツのタイプだって、あるわけです。

原田勝彦著『ゲーム・レジスタンス』

 すべてのイカれゲームを解放する!

小林弘人著『ウェブとはすなわち現実世界の未来図である』

もしインターネットの中身が愚かなのだとしたら、それは愚かな私たちをコピーしたものだからだ。しかし、その愚かさはいまに始まったことではないし、世界は愚かさをはらみつつも偉業を達成してきた。

◎池田憲章著『ゴジラ99の真実』まえがき

(略)1976年頃、竹内氏はよく言っていた。「資料を調べ、徹底的に脚本や文章を読んでから、本人に取材し、何度もチェックしてもらって、文章化する。それが第一次資料だ。又聞きや記事の引用は第二次資料でこれはあまり価値がない。池田くん、僕らがやるのは第一次資料の作成だ。(略)」

◎アーサー・マッケン著『白魔』

聖者の道が天界の奇蹟であるように、罪は地獄の奇蹟なんだ。

◎外山滋比古著『乱読のセレンディピティ』

頭の近視は目の近視ほど不便ではないから、なかなかこれを治療しようとしない。

<詩部門>

『Gの閃光』

明日のことなんて 分からないからって
動かないままなら 始まらないから
立ってみて歩く スタートきって走る
その先に未来という閃光がある

大岡信『詩とはなにか』

小さなことを大きく映す 眼
大きなことを小さく発する 唇

<雑誌部門>  

◎『アニメージュ』2014年9月号「設定資料FILE」『魔法科高校の劣等生』のキャプション

(略)「歩きは3K中4以下にしないで下さい」という指示があるが、「K」はコマ打ち、「中」は中割の枚数を意味し、3コマ打ちで中割枚数は4枚以下にする、つまり一歩進むのにかかる時間を0.75秒以下にしないということ。歩く速さをゆっくりにすることで、落ち着いた感じを表現することを意図している。

<Twitter部門>

https://twitter.com/maeQ/status/434723777637662720

「資料を読み解く力もなければ取材を通じて検証する気もろくにないのにアニメ業界語りが好きなタイプのアニオタって何がしたいんだろう。別に嫌味がいいたいとかではなく、純粋に何がしたいのか謎。いや、まあ、その人の人生なので、極論をいえば勝手にすればいいんですけども。 」

https://twitter.com/utsuro/status/439975108333932544

「自分が声優さんに害をなす者であるという自覚のある人だけが声ヲタを名乗りなさい」

https://twitter.com/ymrl/status/428730991755005953

「日記じゃないところに日記書く人はだいたいどっかヤバい」

https://twitter.com/d_d_osorezan/status/435341867975049216

「興味ない人が興味ないって言いに来たら人気コンテンツ」

https://twitter.com/MAMAAAAU/status/492128248248037377

「ツイッターでわけわからないこと言って怒ってくる人、本人は「議論」っていうんだけど、本当に求めているのはたいていカウンセリングだったりする。」

https://twitter.com/wideangle/status/473787077843116033

「「今どきのオタクは浅くて流行ばかり追ってそれに比べて昔のオタクは深くて……」って言ってる人たぶん浅瀬でダイオウイカ探してるだけだと思う。自分が深海に潜れよ……。」

https://twitter.com/maruyama_yosh/status/491603078068453376

「犯罪者はフリー素材じゃねえよ?」

https://twitter.com/extramegane/status/428054185418829824

「史実のウィキペディア項目の中に、それが登場するアニメの情報を書いていいって誰に教わった?お前のママか?」

https://twitter.com/tako_ashi/status/482425060460748801

「原稿を書く人間が原稿を書く理由は文章が上手いからでも、アタマが良いからでもなくて、「一言多い」からだよ。逆に言えば、書き手は文章がヘタでもアタマが悪くてもなんとかやっていけるのであって、やっていけなくなるのだとしたら、それはそいつが余計なことを言う気持ちをなくしたからです。」